子供の勉強をみるお母さん
宿題に数時間かかっているわが子の現状は教育虐待ではないだろうかと、保護者からの悩み相談が新聞に載っていました。
教育虐待や適正な宿題の量、年齢に相応しい学習内容などについて書いていきます。

小1の娘の習い事の宿題が最近難しく、終えるまでに数時間かかることもあります。親や先生が量を減らそうかと言っても「減らしたくない」と頑張ります。娘はとにかく頑張り屋で、友達も多く、いつも他人を優先するような優しい子です。最近は教育虐待という言葉も聞き、たくさんやる方が親が喜ぶと思って無理しているのかな? と気になります。無理をさせたくありませんが、しっかり勉強してほしいという思いもあり、悩んでいます。

教育虐待とは?

勉学と習い事での、親からの過度な期待

教育熱心な親が、「あなたのため」という大義名分のもと、勉学や習い事を子供の気持ちを考えずに無理強いしたり、過度な期待をして親の思う通りの結果が出るように厳しく育てる行為です。
主に、社会的地位が高く経済的に裕福な両親が子供に対して期待を背負わせ、行き過ぎた「教育」や「躾」を行うことで「教育虐待」が起こることが多いと言われています。
2011年に武蔵大学の武田信子 教授が、「日本子ども虐待防止学会」で「子供の受忍限度を超えて勉強させるのは教育虐待になる」と発表されたことから広まった言葉です。
行き過ぎた勉学と習い事全般に使われます。

子供への影響

親からの過度な期待や行き過ぎた教育に反発した子供が親に対して起こした事件には世間の注目が集まるが、事件化しないまでも、行き過ぎた親の「教育」や「躾」で追いつめられた子供が成人になってもその影響から抜け出せず、精神的に追い詰められ続けていることもあると言われています。

教育虐待では?と悩む保護者の例(新聞記事より)

保護者からの質問

最近、習い事の宿題が難しく、娘は小学1年生ながら、宿題を終わらせるのに数時間かかる。
先生と親が宿題の量を減らそうかと提案しても、宿題の量を減らしたくないと頑張る。
娘は頑張り屋で、友達も多く、いつも友達を優先するような優しい子。

教育虐待という言葉も聞くし、宿題をたくさんする方が親が喜ぶと思って、娘は無理をしているのでは?と気になる。
無理はさせたくないが、勉強もしっかりしてほしいという思いもある。

この質問への回答

「勉強が好き」という子供は結構多くいる。
私自身、勉強すればそれが数字に表れるテストが好きでしたので、娘さんも勉強はむしろ好きなのでしょう。
本人が楽しそうで、親御さんが「教育虐待」にならないように気をつけているなら大丈夫。
娘さんは頑張り屋さんのようなので、少ししか宿題ができなかった日には大問題で悩んだりするかもしれません。
勉強以外のことでも娘さんの世界を広げて、楽しいことの選択肢を他にもたくさん作ってあげてください。
それでも進んで勉強をするなら、根っから勉強が好きなのです。
性格も良い。友達も多い。勉強もできる。
将来が楽しみじゃないですか。

以上が悩みに対する回答でした。

小学1年生に一日数時間の宿題は適量か否か

習い事の種類は?

悩み相談には「習い事」としか書いてありませんので、詳しいことはわかりません。
例えば、スイミング、体操などは宿題が出ないでしょうし、ピアノ、バイオリン、バレエなどは先生からの課題が絶対なので、先生が「量を減らそう」という言葉を発するとは思えません。
先生1対子供達(複数)の学習塾であれば、先生が「宿題は何ページから何ページまで」か「これらのプリント何枚」というように一方的に出されるはずですから、これも違うようです。

多分、個人別の学習塾で、お子様の習熟によって学習の内容が進む学習塾から出される宿題のことかと考えられます。

数時間かかる宿題は適量?

真面目で勉強好きなお子様が頑張ってきたであろうので、小学1年生の内容は簡単にできるはずです。
このようなお子様が宿題に数時間かかるというのであれば、何学年も先の学習をしていることが考えられます。

学年以上の箇所を学習していても、お子様の理解習熟があってそこまで到達しているはずですから、1日の宿題が数時間かかるというのは、明らかに先生の配慮が不足していると思います。
先生であれば、出した宿題に要する時間の予測ができるはずですから、そのお子様に相応しい量ではないと思われます。

真面目で素直なお子様ほど、ずるをして以前の宿題を写したり白紙で提出するなどの手抜きを考えません。
現在の学力を把握した上で、家庭学習に出す宿題がどれくらいの時間がかかるかを、習い事の先生は考えて出さなければなりません。
お子様の性質や現状の学力を把握せずに、数時間かかる宿題を出す先生の責任だと思います。

子供の目を他のものへ広げてあげる

子供自身が立てた目標にとらわれているのでは?

多分、このお子様は、先生や保護者の方との約束を守ることや自分で立てた目標を達成しなければならないと考えて、学習に励んでいるのだと思います。
宿題の量を減らすと目標が達せられない、約束を破ることになるなど、幼いながらに思い込んで頑張っているのではないでしょうか。
保護者の方が「教育虐待では?」と悩む時点で、お子様のことを想う保護者であり、「教育虐待」とは無関係ではありますが、新聞の回答者の方が言っているように、もっと違う楽しみを示してあげてほしいと思います。

他の楽しい勉強の世界を見せてあげる

今、このお子様は、「これしかない」という狭い視野で日々の生活を送っているのではないでしょうか?
もっと違う世界を見せてあげてほしいのです。
例えば、文章の理解力やいろいろな角度から考える力、論理的思考力が身につく『きらきら算数脳』や『きらめき思考力パズル』などの面白い算数で、「これも勉強なの?」と楽しむのも良いと思います。

お子様は今までにない算数の世界に驚くかもしれませんが、小学低学年の今だからこそ培いたい能力が育まれます。
「今、習っている勉強をしなければダメだ」「このまま続けなければ勉強がわからなくなる」などの思い込みや強迫観念を、保護者の方が変えてあげたらと思います。

休みの日に、お子様と一緒に「きらきら算数脳」や「きらめき思考力パズル」を楽しんでください。
お子様に、「これは小学1年の今しかできない勉強。○○ちゃんが今習っている勉強は、4年生5年生になってもできる勉強。今の宿題を30分位でできる量に減らして、他の勉強をするという方法もあるよ。4年生になったら、また今のように宿題を増やせば良い。それからでも、今、○○ちゃんが立てている目標は達成できると思うよ」と話してあげ、お子様に選ばせたらと思います。

小学4年生5年生になった時に宿題の量を増やしたら、サクサクと学習が進んでいくはずです。
最終目標に辿り着く年齢も、今のままの量で続けていくのとあまり変わらず、逆に、楽に簡単に最終目標に辿り着くのではないかと思います。

まとめ

一日数時間の宿題を楽しめるお子様なら良いのですが、小学低学年であれば、その時期にしか培えない能力の開発に時間を使ってほしいと願っています。

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