子供たちの想像力
2017年の「全米最優秀女子高生」に選ばれたスカイ・ボークさんは、アメリカ人のお父様と日本人のお母様ボーク重子さんに育てられました。
全米女子高生コンテストの内容や重子さんの子育てと日本の子育てとの違いなどを考えていきます。

「全米最優秀女子高生」とは?

Distinguished Young Woman of America

「アメリカの極めて優れている若い女性」なので女子高生という言葉は出ていませんが、大学奨学金としての賞金のようですから、対象が女子高生なのでしょう。
60年の歴史ある、全米の女子高生憧れの賞と言われています。
選ばれる基準は、知性や才能、リーダーシップなどです。

ポーク重子さんの子育て

重子さんがスカイさんに育んだ「非認知能力」とは?

お母様の重子さんには、『世界最高の子育てツール SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法』や『「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育』など、多数の著書があり、これらの本に書かれているのは、学力はもとより、協働力や向上心があり心が折れない子供に育てるための「非認知能力」の育み方です。

非認知能力とは、2000年にノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・J・ヘックマン博士が提唱したものです。
テストで数値化し難い能力で、コミュニケーション力、協調性、共感性、自制心、向上心などを含み、学校生活や仕事などの成功の支えとなるもので、生きる力そのものです。
これからの時代を生きる子どもに最も必要とされるもので、現在、とても注目されています。

非認知能力の育み方

重子さんの本を読むと、親としての心得として以下のように書いてあります。

*子供が安心できる家庭環境づくり
*両親は夫婦仲良く、食事時間も一緒に過ごす
*子供の話を否定しない
*空想で子供の想像力を高める
*子供に過剰な宿題や習い事をさせない
*子供が何に夢中になるかを観察し、興味をあることを伸ばす環境を整え、応援する
*子供の長所を徹底的に伸ばす
*家庭でも決まった役割を子供に与え、責任感を持たせる
*子供に目標を設定させて計画させる

これらで育まれる非認知能力は、ブログ記事『写真を飾って自己肯定感をアップ』の自己肯定感とも通じる能力です。
ブログ記事に出てくる『ほめ写プロジェクト』の調査で、自己肯定感は小学校入学後に低下するので、重子さんの著書を参考に非認知能力を高めることも大切だと思います。

重子さんへの、タレントパパママからの質問

重子さんに質問をするテレビ番組があったので、学習に関する部分を書き起こします。

勉強しない子

タレント千秋さん……「(中学生の娘が)自分で勉強してくれるようになれば良いなと思っていたが、やらないから、ある時からテスト前、娘に『勉強はしなさい」と言ったら、急に私が勉強と言い出したから、『(勉強)するの?』って。(理想は)言わないでもやればいいなと思っていたけど、実際やらないから』

他のタレントパパ・ママも一斉に「言わないとやらない」

重子さんの答え……「非認知能力を高める教育をしたら、勉強は自分でするようになる」
「勉強しなさいと言わず、宿題を忘れさせた。子供の仕事は学生。学生の仕事は学校の勉強。やらないで困るのは自分。『やりなさい』といわれてしても達成感がない。自分でやることが重要」
「自分は日本で育った。テストの点数が良ければいい大学、良い仕事、人生成功というのが『認知能力』。これできて、私は中学2年までは成績が良かった。成績が下がった途端に心が折れて、勉強しなくなった。『点数が悪い、自分はバカなんだ』と思って、バカと思われたくないからそのためには『(勉強を)やらなきゃいい。やらないからできない』という考えになった。心が育っていなかった。だから、人間力が大事」
「宿題を忘れたら、良いチャンスと考えて、『どうしたら次は忘れないようにできるかな?』と子供に聞く。子供は、『え?考えていいわけ?』と自分で考える」

「娘が4歳の時から家族会議をして、『パパは仕事、ママは家事と仕事、娘は勉強』と家族の役割を決めた。パパは行きたくない時もチャンと仕事に行ってお金を稼いでくる。ママも頑張る」
「子供にも考えさせて、自分で答えを出させる。『あなたの仕事はなにがあると思う?』と。年齢に応じて小さい時は『靴紐を結ぶ』などの答えが出てくる。娘の学校は小学3年が終わるまで宿題も教科書もなく、勉強という言葉をあまり使っていなかった。小学3年までの子供の仕事は遊ぶことだった。『今日は何して遊ぶ?』こればっかり聞いていた」

勉強しない子に対するプリスタの考え

学習塾講師の経験から、子供の中には宿題をしなくても平気な子供がいます。親や先生に叱られても平気な子供がいるのです。
このような子供には、子供がやる気になるまで親は黙っているという子供の自主性を待っていても間に合わないので、的確な働きかけが必要だと思います。

重子さんの話の中に、「成績が下がった時、バカと思われたくないからそのためには(勉強を)やらなきゃいい。やらないからできないという考えになった」という箇所があります。
同じ趣旨の話を、学習塾の講師時代に受けた元非行少年だったカウンセラーの方の講演会でも聞いたことがあります。
「プライドが高い子供は、勉強がわからなくなると、『勉強をやらないからあの子は勉強ができない』と思われるように、わざと勉強をしなくなる。努力することから逃げる」という内容です。

非行に走る子供には理由があると思います。
そのような子供も、非認知能力と自己肯定感を高める育て方をされていたら、全く違う考え方になっていたのではないでしょうか。
今から子育てをされる方には、子供の非認知能力と自己肯定感を高めるこの本は一読の価値があると思います。

勉強しない子供には、簡単なところから復習して勉強がわかるという経験を積んで、少しずつ自信を持たせることが第一かと思います。

習い事の考え方

タレント千秋さん……「娘の友達は、チアだったりバレエだったり習ってきて、特技がある。娘に対して、私の子供だからそのうちやりたいことを自分で見つけるだろうと思って、自分は娘に何もさせてこなかった。でも、中学になってもまだ見つかってない。これでよかったのかなと思う」

重子さん……「子供が行きたくないという習い事はさせない。習い事は技術や知識の習得のために行くのではない。好きなことを見つけてパッション情熱を持って生きていく。これが重要。そのために、この子はどんなことが好きなんだろうというのを見つけるための習い事。いろんなことを経験させることが大事。」

タレントパパ……「いろんなことをさせると言っても、すぐやめる子に育っても困る」
タレントママ……「習い事は3年はやらせたい。石の上にも3年」

重子さん……「石の上にも3年でなくてもOK.イヤなことに3年も費やすのはもったいない。始める前にやめる時期を決めておく。大事なのはいろんなことを経験させること。才能があるかどうかではなく好きかどうか。ここが重要。見極めるためにいろんなことをやらせて、子供と決めた期間が終わる時に、『もっとやる?』と聞く。
期間はいろいろ。年単位もあれば、1日、1週間、夏休みだけなどいろいろ。習い事の最小期間」

タレントママ……「習い事には入会金、道具など、初期費用がかかる」

重子さん……「お金のことはすごく大事。お金は降ってこないから、習い事にこれだけお金がかかると子供に話して、期間もどれだけにするか子供と相談する。そうすると、子供も責任を感じる」

習い事に対するプリスタの考え

重子さんの「石の上にも3年でなくてもOK.イヤなことに3年も費やすのはもったいない。始める前にやめる時期をきめておく。決めた期間はさせる。子供と決めた期間が終わる時に、『もっとやる?』と聞く」という言葉に、とても良い考えだと思いました。

「始める前にやめる時期を決めておく。習う期間を決めておく」という重子さんの考えは、プリスタの考えにありませんでした。
このやり方であれば、挫折感を子供に抱かせずに、子供が真剣に好きなことを探すのではないかと思います。
ただ、この方式では、野球のイチロー選手や卓球の愛ちゃんや美誠ちゃんは生まれていないのではないでしょうか。
この選手たちは、ご両親の考えで野球や卓球を始めていて他の選択肢はなかったようですから。

タレントの庄司さんが、「子供の時、嫌々習わされていた水泳だが、今となっては良かったと思う。だから、自分の子供には嫌でもやらせている」と言っていました。

勉強に関しても習い事に関しても、我が子に向き合って、親が方針を決めるしかないと思います。
重子さんの非認知能力を高める育て方は、自己肯定感を高めることと同じです。
重子さんの育て方(アメリカの上流階級のエリートを育てる教育)の良いところを取り入れ、日本の現状にもあった教育を模索するのが、最善の方法かと思います。

ブログ記事『写真を飾って自己肯定感アップと脳の活性化』に書いているように、子どもの自己肯定感は小学校低学年で大きく低下するという調査結果があります。
原因は、小学校入学後、周りの環境が変わり、子ども自身が他人と比較し始めることだと考えられます。

小学校生活で「計算が遅い」「運動が苦手」「ひらがなが上手に書けない」など、友だちと比較した子ども自身が、自分のできないことに悩み始める時期だということです。

私がこのサイトを始めたのは、学習塾で暗記のたし算ひき算をさせられていた幼児さんたちに、目で見たり触ったりの実体験を通して数の概念を理解したうえで、たし算ひき算をラクラク習得してほしいと思ったからです。

小学校入学後すぐに学校に居残りさせられたと連れて来られたお子様や正しいひらがなが書けなくて何回もテストを受けていたお子様など、現状の学校に通わざるを得ないお子様の性格、気質、能力を見極めて、親としての方針を立てることをおすすめしたいからです。
プリスタを、その選択肢の一つにして頂きたいと願っております。

まとめ

これからの時代を生きていくうえで大切な「自分で問題をみつけ、解決し、行動できる力」非認知能力を身に付ける教育法が具体的に書いてあるので、重子さんの著書はとてもためになると思います。
そのうえで、お子様の性格や能力、気質を考慮し、日本の学校教育の現状に即した対応も必要ではないかと考えます。

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