入学式も終わり、毎日楽しく通学しているお子様の顔を見るとうれしくなりますね。
お子様が大きくなって振り返れば、「あんなことを心配していたなんて」と思えることでも、入学してすぐの頃は一大事だと悩むことが多いと思います。
その中でもひらがな、漢字の「とめ、はね、はらい」の悩みは大きい方だと思いますので、学習塾講師の経験から思うことを書きます。

大人が思う以上に個人差があるお子様の手先の器用さ

以前の記事から抜粋します。

よく、「勉強は入学してからで大丈夫」と言われますが、学校の諸々はひらがなが読めることを前提に進んでいきます。
ずいぶん前のことですが、電車に乗った時に、4人掛けのボックス席で窓際のお二人が話していました。
通路側に座っていた私にも聞こえてくる声量でした。
二人は小学校の先生らしく、「入学する時にひらがなが読めないで良いなど、きれいごと。国語の教科書もひらがなを読むことから始まる。入学してひらがなを覚えなければならない子供は、最初からハンデがある」という内容でした。
塾の講師をしていた時でしたので、「これが学校の先生の本音」と痛感したものです。
『幼児(5歳)算数プリント』のところにも書いていますが、小学校によっては1年生の1学期に「正しいひらがなを書きましょう」というテストがあり、ひらがなの「はね」や「とめ」などを細かく採点されます。
ワクワクして入学したのに、「正しいひらがな」のテストに合格するために何回も追試を受けなければならない元気いっぱいのお子様と保護者の方を見て、お子様の器用さについても考えました。
数字やたし算の概念などについても『幼児(5歳)算数プリント』のところに書いていますので、お子様の性格や器用さなどを考えて、入学前に不安のないようにしてあげ、入学に備えて頂きたいと思います。

お子様の手先の器用さには大人が思う以上に個人差があり、テスト用紙の解答欄に書いてある□に文字が収まらないお子様もいます。
学校が求める大きさの文字が書けないのです。

また、「い」「か」などのはねが長い棒線になってしまうお子様は、学校のテストで△や☓にされていました。
はねが長すぎるということですが、お子様の成長の度合いを考慮した採点になっていないので可哀そうでもあります。
もう少しお子様の発達を見守る指導であってほしいと思いますが、その学校に行くしかありませんし、その先生に合わせるしかありません。

不器用なお子様はもとより、器用なお子様も鉛筆で上手に書くためには指をうまく動かせるようになる練習が必要なのです。
そのために、フリーハンドで線を引く運筆は文字を綺麗に描く練習なので、4~5歳位からたくさんしてあげてほしいと思います。
その後に、「とめ、はね、はらい」のあるひらがなと数字の練習に進んでラクラクと書けるようにしてあげてください。
数字の練習4歳幼児算数プリント無料ダウンロード

文科省は家庭学習を求めている

CLARINET「海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ」からの引用です。

1.平仮名・片仮名は46字と限られているので、きれいな字になるのも容易である。
2.小学生・中学生とも、「書き方」「書写」の教科書の視写を継続して行わせる。また、長期休暇中は毎日行うよう促す。
3.トレーシングペーパーを使ってなぞり書きするのが効果的である。
4.小1では、家庭でしっかり指導してもらい、まず正しい字形の習得をめざす。小1段階での文字に関する出遅れは、学校生活全体への意欲や自信に影響する。
5.片仮名は、書く量(機会)が少なく、習得が遅れるので、家庭でドリル的に練習させる必要がある。

これは新一年生にも当てはまることですが、「平仮名・片仮名はたった46字なので、きれいな字になるのは容易」という文に、容易ではないお子様達の顔が浮かびます。
「3.トレーシングペーパーを使ってなぞり書きするのが効果的である。」とあるように、最初はなぞり書きが楽にできる方法です。
上記の数字の練習も、色鉛筆を使って丁寧に1列書いて、次の日にまた丁寧に1列書く。
全部の列を書き終えたら、鉛筆の色を変えて書いた文字をなぞる、など、丁寧に書いて覚えるようにしてください。

大切なひらがなの「とめ、はね、はらい」

学習指導要領には「漢字の指導においては、学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とする」とあり、「文字については、それぞれ人により癖があるため、形が変わりすぎていて読めないという場合を除いては、間違いとはしません」とありますが、漢字テストや書写において、どのような採点、減点にするかは「各校の判断」と付け加えられています。
そして、ひらがなについては特に決まりはないとありますが、教科書によって字体が違います。

このように、‟せ” や ‟た” もはねる文字とはねない文字があり混乱しますので、お子様が進学する学校の教科書のフォントに応じて練習するようにしてください。 

先生の採点で△や☓をもらってきたら、「入学試験で文字が雑であれば読めずに☓になることがある、判別が難しい場合は☓になることがある」という事実を教えてあげてください。
保護者、学校の先生、塾の先生はそのお子様の文字を見慣れているので「ああ、これは”り”で”い”ではない」「これは”6”のつもりが”0”になっている」ということがわかりますが、入試では忖度されません。
文字は他人に伝える手段なので、他人が読めるように正しく、丁寧に書くことを心掛けるように教えてあげてください。

また、「こう書いた方がきれい」「これ、きれいに書けたね」などのポジティブな言い方をして、できなかったことができるようになる楽しさを教えてあげたいものですね。
そして、できるようになったことを褒めてあげてください。

ただ、たくさんのお子様を見てきた経験から、どうしても直らないお子様もいますので、そのようなお子様にはあまりの☓ばかりで勉強嫌いにならないように、家庭学習ではプリント1枚の中のひらがなと漢字の微妙なミスは5個以内にとどめるなど、お子様が嫌にならないようにしてあげてください。
毎日、書写のプリントを学習することが積み重なり、正しいひらがなや漢字を習得していかれると確信します。

学校の先生が厳しい場合は、数年後に必ず感謝することになるので有り難いと思ってください。
低学年のテストは、何が間違っていて何が正しいのかを学ぶものでもあります。
そして、「はねやとめをしっかり書いていたら100点だったのに惜しかったね」「先生が厳しいのは、ほんとの入学試験で☓になったら損だから。あなたのためよ」と、ご家庭でしっかりとフォローしてください。

「学校のテストでも塾のテストでも、点数は別にして、字がきれいに書けた場合は‟素晴らしい!” ‟やったね!”シールを貼ってあげる。20枚揃ったらガチャ3回」というご家庭もありましたので、それぞれのご家庭でお子様のやる気を引き出してください。

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